女性の立場から
(平成18年)
後藤 和美
どんな人でも、ご自分の娘や女の子の孫に、本来男子が負うべき責務を強制し、その遂行に生涯を捧げさせたいとは、決して思わぬはずです。
いたいけな少女が、いつか大人になったら、良い伴侶に巡り会い、幸せな結婚をし、子宝に恵まれ、終生穏やかな生活をしてほしいと、そう祈るのが、親心ではないのでしょうか。ましてや、皇室の御婦人は、日本国の品位と徳性と知性、高雅さと優美さと母性の象徴であられること自体がすでに御公務。そこへ、男子の重責と激務を被せるとすれば、それはロイヤル・デューティーの域を超えていると思います。
一方で少子化を憂いながら、もう一方で女性が安心して子供を生み育てられないような環境を作ってしまう、その矛盾を国民に押し付け、国家の歴史と伝統の枢軸である皇室にまで踏み込むとは、まさに亡国の仕業としか言いようがありません。
愛くるしい皇女様を、今から帝王学で雁字搦めにするという酷さと無責任さを、「有識者」なる人々がわかっているとは、とうてい思えません。
有識者の考えはジェンダーフリー、男女共同参画を唱える人達と同じ唯物思想であり、日本の伝統文化を根底から壊す企みをもっているとしか考えれられないのです。
殺伐たる事件の耐えぬ現在を見るとき、日本を昔のように潤いのあるすばらしい伝統を大切にする社会に戻さねばとつくづく思う昨今です。