憲法9条を改正して「自衛隊」を「国防軍」と位置づけるべし

(令和4年)

針原 崇志

ロシアによるウクライナ侵攻が開始された当初、共産党の志位委員長は、ツイッターでこう訴えました。
「プーチン氏のようなリーダーが選ばれても、他国への侵略ができないようにするための条項が、憲法9条なのです」
さすが志位委員長、よくお分かりになっています。

憲法は、あくまでも自分の国のあり方を決めるものです。他国の政府を憲法で縛ることはできません。
したがって、たとえわが国が憲法9条を堅持して、反戦平和を誓っていたとしても
他国がわが国を攻撃しようと思えば、憲法9条など全くお構いなしに攻撃することができます。

でもその点、憲法前文にはこう記されています。
「平和を愛する諸国民の公正と信義を信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」
つまり、プーチンや習近平や金正恩は決して日本に攻撃なんてしかけてこない平和を愛する人々だと信頼する。
その一方で、志位委員長のコメントにあるように
日本国民はヘタすると独裁者を選んで他国へ侵略するかもしれないから、憲法9条で縛っておく。

要するに憲法9条というのは
プーチンや習近平や金正恩は信じて、日本国民は疑う、そんな条文だといえるわけです。
「憲法9条を守りましょう!」なんて訴えている人たちは、そんなに日本国民が信用できないんでしょうかね?

私は日本国民として、日本国民は決して他国への侵略を支持するような国民ではないと信じていますので
憲法9条なんて改正しても何の問題もないと思います。

それも、自民党草案のように、憲法9条に自衛隊を明記するだけという姑息な改正ではなく
明確に「国防軍」として位置づけるべきだと思います。

軍隊は、基本的に国を守るために必要なことは、いちいち根拠法を作らなくても何でもできます。
ただし、「捕虜虐待」や「市民への加害」など国際法上禁じられていることはできないという
「ネガティブリスト」に拘束されます。

その点、自衛隊は「警察予備隊」の延長として組織されてきたことから
行政機関の一つとして「ポジティブリスト」によって与えられた権限の範囲でしか行動できません。
つまり「想定の範囲内」でしか行動できないため「想定外」の事態に臨機応変に対処することができません。

有事は「想定の範囲内」で起きてくれるわけではありません。
「想定外」の事態が発生しても対応できるよう、無用な縛りは外すべきです。

そもそも、自衛隊は国際法上は軍隊として認識されています。
それを憲法上「自衛隊は軍隊ではございません。自衛隊はあくまでも自衛隊です」と明記するなど
国内向けの欺瞞にすぎません。

そして欺瞞に欺瞞を重ねるかのように
「自衛隊なんだから、装備は自衛のための必要最小限のものに限られる」
なんてことが当たり前のように言われていますけれども
ちゃんと国を守るためには、強いに越したことはありません。
最小限である必要などありません。

たとえば、自分の身を守るために護身術を習う際
「強くなりすぎたら護身の範囲を超えてしまうから、強くなりすぎてはいけません」
なんてトンチンカンな話は聞いたことがありません。
力を持つか持たないかという話と、それを適宜行使することとを、混同すべきではありません。

パワーバランスを維持することで平和が保たれている国際社会の現実にかんがみるならば
力の空白地帯を作らないことは、むしろ大国としての責任とさえいえるでしょう。
憲法9条、そして「軍隊ではない自衛隊」という位置づけがその妨げになるのであれば
それらはむしろ、戦争を誘発するものにさえなりかねません。
世界平和のため、憲法9条を改正して、自衛隊を明確に国防軍として位置づけるべきです。

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