日本史こそ必修に
(平成21年)
針原 崇志
いま高校では、世界史が必修科目とされる一方、日本史は必修とはされていない。
昨年末、文部科学省により高校の学習指導要領改訂案が発表され、日本史が必修とされるのでは、との憶測もあったが、結局見送られた。
そもそも世界史が必修とされたのは、「国際化時代に必要な教養は、英語と世界史だ」とする短絡思考、国際化のはき違えによるものである。
現実の国際社会で必要とされるのは、みずからの生まれ育った「日本」を紹介する能力である。
自分が何者か、どのような歴史・文化にはぐくまれていまの自分があるのか、ということにこそ、相手(外国人)は興味を持ち、それに対してちゃんと「日本」を説明できなければならない。そうして異文化との相互理解を図ることこそが真の国際化である。そこで必要なのは、日本史、すなわち日本人の来歴に関する教養であって、世界史の瑣末な知識など役に立たないのである。
根なし草「国際人」を賛美する軽薄な風潮とは決別しなければならない。
日本に生まれ育った我々は、日本を体現する「日本人」でなければならないのである。