奇怪な国会議員の動き
(平成15年)

大東亜青年塾 副塾長

上谷 親夫

国会議員というのは、国民の意思が何処にあるのかを察し、これを国会において討議し、それを立法化するか、あるいは法律を改正するか、廃止するのが主たる仕事である。
ところが一寸話は古いが、「わが国は侵略国家である。近隣諸国に謝罪を」ということを国会決議したり、今年からは「新指導要領」によって学校は週休二日制とし、教科内容は三割削減して「ゆとり教育」という。さらにこの財政状況下に、12兆3千億円の予算を伴う「首都機能移転」を決議したりしている。

また昨年の4月には「夫婦別姓法案」が国会に提出されそうになると、当時何の議論にもなっていなかったものが、突如として現れて来る。当然国民的支持は得られず、立ち消えとなってしまった。すると今度は「男女共同参画社会基本法案」なるものが出てきた。これも、何も今の我が国の状態を見つめる時、そんな緊急に討議されねばならぬ問題とは思われない。そしてこの二つの法案を見つめる時、一つの隠された、共通の意図が感じられて仕方がない。それは、わが国民の精神の源である、家族の絆(きずな)の破壊である。わが国民の有する家族の絆は、世界に誇り得るものであり、この親子・兄弟による強固なる絆は、宗教を超える、倫理の根本をなしているものである。馬鹿げた「週休二日制」による「ゆとり教育」によって、又、破壊しつくされた家族制度で日本人の最後に残った砦、「家族の絆」を破壊してしまえば、日本人は滅亡の坂道を転がってゆくことになるという戦略であろう。

では何故このような不可解な法案が上程されてくるのであろうか。ここに小さな雑誌ではあるが、毎号良心的な情報を提供してくれている月刊誌「選択」の、平成12年9月号の20ページの記事に注目したい。そこには中国共産党当局が明らかにしたこととして、「日本に居る中国共産党の党員は1万5千名で、影響下にある『愛国社会団体』は、450ある」と記されている。そして最近耳にする事は、この国は日本の国会議員1人に対し、野党議員であっても2人、与党議員には最低3人、実力者と言われる者に対しては5人ないし7人の党員を専従の工作員として貼り付け、平和問題、人権問題、差別問題、環境問題等の社会活動団体の名称を冠した名刺を持って、中共の指示通りの工作活動に従事しているという。(この工作者は国会議員に限らず、地方議会の段階でも、実力者と目される議員に対しても、専従しているようである。)

これで国会議員の妙に統率のとれた、奇怪な動きの信任が、読み解けてきたというものである。彼らは選挙民の、国民の要望に耳を貸すよりも、目新しい、工作員の掲げる一寸飛び付きやすいテーマに乗り、手土産に惑わされて、「そうだ、そうだ」と自分の発案、国民の与論としてしまうのである。これで彼ら運動の画一性も、理解できる。工作員たちは中共の指令のもと、一体となってその実現の為に、全国を飛び回っているのである。かくして国民の喫緊の問題は何処へやら、工作員たちの甘い言葉に載せられた国会議員によって、国会は国民の思わぬ方向へ、すいすいと流されて行ってしまうのである。

かの国は、いかに我が国を想うがままに操っているか、今回の台湾外交官に対するビザ発給問題一つ見ても、これまではかの国の鼻息をうかがって、絶対に発給しなかったものが、本国の風向きによって態度を一変してしまっている。わが国の国会議員は、完全に某大国の操り人形と化してしまっている。

スパイ活動防止法など無いわが国に、明石元二郎のような工作員が、何万人と活動していても不思議ではない。むしろわが国に相対している国としては、それは当然のことである。先にも述べた外に「外国人参政権問題」「靖國神社代替施設の問題」など、この国の根幹を腐らせようとする問題は、次々と提起されてきている。その反対に、この国を運営してゆかねばならぬ根本的重要な問題は、同じ党の中でも対立を煽り、審議を遅らせ空洞化させ、廃案ないし先送りに追い込み、国会機能を形骸化、無力化させる工作も感じられる。

我々はこれ等の工作・国会謀略のあることに十分思いをいたし、先ず自分の心眼・歴史眼を磨き、そして謀計に操られる議員の活動には十分注意し、これ等の工作・謀略に乗った動きを封じるよう、十分心を働かせねばならないのである。





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