若者よ祖国日本の真実を
(平成15年)

在ブラジル日系二世

村崎 道徳

母は私が17歳のとき亡くなった。4歳の時の思い出から僅か13年の短い間の母の教訓と諭しを辿ってみたい。

私には母の言葉が原風景として、今も生き続けている。第一番目の印象は、私が4歳くらいの時だと思う。なぜならブラジル入植2年目に祖父が植えたバナナが2年後に実がなったと聞いたからだ。そのバナナの木の陰で遊んでいた私に母は、日本にはナー、テンノウヘイカとおっしゃる偉くて優しい方がおんなさるトヨ「居られるの意」。その時私は母に質問した。その優しい御方は私やお隣の和子ちゃんや子供を可愛がるのだろうと。母は、いいえテンノウヘイカはナー、お爺チャンもお婆チャンもお父さんもお母さんもそして貴方たちもお隣の人々も皆々、優しく大事にされるトヨ、と教えた。

私は虚空を見つめて考えた。お爺チャンやお婆チャンや大人まで可愛がる人とはどんな人だろうかと。今考えると、母はブラジルに来て如何にして日本の心を子供たちに伝えるか苦悶したかが伺える。たった4歳の子に、日本人の心の原点とも言うべき皇室天皇の大御心を話して聞かせたのだ。4歳の子供に、しかし私はその時から、4歳のときから、日本には優しいお方、テンノウヘイカが居られるのだとしっかりと理解して育ったのだ。何と幸せな私だったかと思う。そして4歳の時から遠く日本という祖国を知って育ったのだ。鳴、何と幸せな星の下に育った私だったことだろう。

原風景はまだある。やはり母の世界情勢を見極めた言葉と諭しだ。私が7歳の「昭和12年」頃、日本人は強く生き、正義に生きて、祖国を守り外国の侮りを防がねばならないと、幸い天皇のおわします日本は、日清、日露の戦争を勝ち抜いてきたが、独仏露の三国干渉で日本は涙を飲んで遼東半島を返し譲歩したことなど、又東南アジアをはじめ白人の有色人種支配の事実を説いて聞かせてくれた。大インドは英国に、マレー、インドネシアも白人に支配され、仏領インドシナ、越南、現在のベトナム、ラオス、カンボジアはフランス人が支配していた。越南人は王室は滅ぼされ、憂国の志士は後ろ手に縛られて13階段のギロチンの断頭台に追い上げられて、鳴、越南、越南と祖国の名を呼びながら皆殺しにされ死んでいった凄惨な事実を説き教えた。日本人は、大和民族は、愛国心を以て祖国日本を守り抜かねば越南の様になると、日本の置かれた立場と、白人優位の世界情勢の現実を説き聞かせてくれたのだ。越南人がギロチンの断頭台で殺された話は事実私にはショックだった。絶対に日本は彼ら白人に渡してはならないと、子供心にも国を想う愛国心がふつふつと沸き起こった。愛国心に目覚めた原風景である。

国際感覚を身につける最初の貴重な体験

それは、学校で欧米系の子供と共に学んだときのことだ。彼ら白人や黒人の子供は自分が欲しければ誰も見ていないと思うと、人のものを例えばクレヨンや色鉛筆を平気で盗むのが居る。咎めて詰問すればしぶしぶ返すが、後はシャアシャアとして悪い事をしたとも思って居ないのだ。
私は不思議でならなかったが、後で解ったことだが西洋人の大人たちは一応は他人の物を盗んではならないと言うが、子供の人権を尊重して、神から頂いた人間の「命」が生きるために、例えば子供たちが腹が空いて食べたければ、何処の誰の畑のバナナでもスイカでも断りなしにとって食べても「基本的」に人間が生きる為に食べたのだから罪にはならない。したがって「食べ物」を取って食べたことに対して子供を強く叱ったり折檻してはいけない。やわらかく言い聞かせるのが人間の基本であると。しかし生きる為に食べたのは許せると言う大人たちの「柔い」説教では子供たちは取る癖が直らず「取る癖が身につき」ずる賢い大人になるだけだ。
私は食べ物を盗んで食べるのが人間の最も汚い行為だ、親達日本人も日系ブラジル人の私も一等国民なのだ、死んでも他人のものを取って食べたりしてはならないと強く自覚したものである。色鉛筆を取った後でシャアシャアトして居る彼らの謎が解けたのだ。
日本人と欧米人の考えの違いの原風景を認識した瞬間であった。

祖国日本の国際外交を憂う

外国人の国際外交は濃淡の差はあるが、どの国も嘘で固めたペテン外交をすると承知して間違いない。「外国の性」がそうさせるのだ。御覧の通り勉強不足で無自覚な、又信念のない日本政府の外交では外国に歯は立たない。
相手「外国人の嘘」を知らねば国会の議員も一般日本国民も永遠に外国との外交の手の打ち様はわからないものだ。ここにきて日本は一大転換をしなければならない。先ず日本人は戦前の日本は全て悪かったと言う間違った思い込みを早く切り替え、今現在の日本はこれで良いのかと足元から見直す時が来ているのだ。人類の宝とも言うべき日本の修身教育、教育勅語の教えを、学校に復活して日本の若者の国民意識の基準を世界最高にまで高めなければならない。
戦前の正義の外交を謙虚に見直し、強く正しく自信を持って人類を導くのが、日本民族の使命であると自覚するべきだと思う。終戦の時、私が14歳、兄たちが17歳と19歳、三人を前に母は、戦争は終わりました。陛下の捨て身の御聖断によって終りました。今後皇室も日本國體も如何なるか分りませんが、今こそ日本人は陛下の御心を体し、日本の心、大和魂を失ってはならない。陛下の御心に応える為にも立派な大和民族を後世に遺さねばならない。アメリカは必ず日本人の考えを解体してくる。日本人は欧米白人に絶対に騙されてはならない。陛下の大御心に沿い奉ることが日本民族の原点であるのだと諭しました。

今、現在、日本国民は今上天皇の御心を安泰に治め差し上げているだろうか。日本人は、民主主義という美名に酔い痺れて大和の精神の本質を忘れてはいないだろうか。日本国民が陛下の大御心に帰依し大和の心を自覚しなければ、日本国は衰退滅亡の運命しかありません。日系外国人の見地から物申します。日本の天皇の御心こそが将来の人類の運命を包み生かす日本の心であります。その日本の心、日本精神こそが崇高な民主主義の華であります。その崇高な日本の民主主義の華一本一本を、世界の人々に分け与える役目が、日本民族の使命であります。それは、日本国民が、祖国日本を命に代えて愛し守ることから始めなければならないのだ。麗しき祖国日本の原風景のままに。
奇しくも平成の御代に生きて、外国と日本の原風景を描きながら日本の皆様にはっきりと申し上げることは、世界人類を救うのは、やはり日本人の優しい心と勇気以外にはあり得ないと。

皆様と意見を交わす機会を、今ここに頂いたことを、神に感謝申し上げます。
日本の若者よ 祖国を愛し 前進して下さい。
日本の若者よ 祖国日本の真実を磨き出して下さい。

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