支那にはきついお灸が必要
(平成17年)

獨協大学名誉教授、昭和史研究所代表、大東亜青年塾教授

中村 粲

申すまでもなく、本年は大東亜戦終結60周年である。大東亜戦争の歴史的意味を解さぬ小泉首相は、恥知らずにも去る5月9日モスクワで開かれた対独戦勝60周年記念式典に出席し、かつての同盟国ドイツの敗戦記念を祝して旧敵国首脳連中と共に盃を上げた。一国の首相が旧同盟国の敗北記念の祝杯を上げる無節操な姿を世界はどうみたであらうか。
65年前、ソ連に併合され国を喪失したバルト三国はこの式典を否認して、自らの歴史的立場を断乎として主張した。三国併せても17万平方キロメートル。わが国の半分にも足りぬ小国ながら、毅然と自己の主張を貫徹するその姿勢は天晴の一言に尽きる。実に国の存否と優劣は国土の大小を以て計るべからずである。

靖國神社参拝に対する支那の執拗な干渉的言辞に対して、首相は日本政府の立場が終戦50年の村山談話の趣旨と変わりないと述べ、相変わらず「反省」「謝罪」の言葉を繰り返し、結局は言い訳と弁明に終始する情けない有様だ。
我々は中共に対して謝罪はおろか、反省も弁明もする必要は毛頭ない。何故ならば、我等の支那事変は中共の大東亜赤化を防遏(ぼうあつ)せんがための防共戦だったのであり、大東亜戦争も畢竟その流れの中で発生した戦いだったからだ。その後、内部矛盾で破綻し崩壊し去った共産ソ連及び東欧共産諸国の運命を見るならば、防共戦は歴史の大きな流れに正しく沿った戦いであったことが理解されよう。今、中共党員が日に2万人も脱党しつつあると云はれる現実を思ふべし。我々は支那共産主義運動と戦った歴史をむしろ誇るべきである。

それにしても、米国が支那席かの脅威に対して十分な認識がなく、支那を援助し、日本に経済制裁を行ふ愚策に出たため、支那事変を長期化させ、延いては日本を敵として戦ふ羽目になり、漁夫の利を得た中共とソ連のアジア侵略をもたらす結果を導いた。この誤れる敵の政戦略によってわが軍が敗北したのち、蒋介石も米国も初めて己の愚に気がついたが、「遅かりし由良之助」であった。
日本人、殊に日本の政治家はこの歴史的構図をしっかりと明記して歴史と戦争を語らねばならぬ。その立場に立って支那に歴史的論争を挑むべし。最大の弱点を突かれた支那は忽ち委縮し、以後歴史に関する思いあがった発言を慎むやうになるであらう。支那には一度きついお灸を据えてやる必要があらうと思ふ。「謝罪」よりも「反論」を為政者に切言する所以である。

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