軍事アレルギーからの卒業
(平成18年)
小野 陽
北朝鮮が日本海にミサイルを発射しました。皆さんはこのニュースを聞いて、どう思いましたか?
一、「信じられない」「これからどうなるの」
二、「憤りを感じる」「領土侵犯だ」
実は前者は日本人の反応であり、後者は極東のロシア人の反応です。現実に対応しているか逃避しているか、心構えの違いが如実に表れていますよね。
では、日本政府の対応はどうだったでしょうか?
「訪米中でなくて運が良かった」と言った小泉首相は問題外ですが、@万景峰号の寄港禁止、A経済制裁の検討、 B国連安保理決議に期待、となっています。皆さんはこれで本当に日本を守れると思いますか?
まず経済制裁は、世界中が一斉に北朝鮮を経済封鎖しなければ意味がありませんし、軍事力の背景がなければ怖くありません。また日本人は国連を世界警察か何かと勘違いしていますが、国連とは戦勝国が利害を調整する為に作ったのであって、外交戦争の場に過ぎません。中国とロシアが北朝鮮の黒幕である限り何も期待できません。
では自衛隊はどうでしょうか。北朝鮮に先制攻撃や報復攻撃が出来るでしょうか。むろん、出来ません。自衛隊は核弾頭はもちろん、ミサイルも空母も爆撃機も持っていないからです。敵の上陸部隊に対して地雷も設置できません(小渕首相が地雷は非人道的だから、と破棄してしまいました)。つまり自衛隊は日本の国土と、皆さんの生命・財産を守ることができません。
しかし、それで自衛隊を責めるのは筋違いです。
なぜなら、自衛隊をその様な立場に拘束してきたのは、他ならぬ日本国民だからです。GHQ製の憲法と、左翼マスコミに踊らされて、そうしてきたのです。アメリカが守ってくれる、と無邪気に信じ込んで国防を怠ってきたからです。
では、どうしたら良いのでしょうか。むろん長期的には、@憲法改正、A自衛隊の核武装、Bミサイルや空母の配備、C米軍に頼らない偵察衛星などになりますが、そのための時間を稼ぐ事、及び外圧をかわす事、を目的としたD外交戦術 こそが目下の急務になります。
そして、それらを他人事のように捉えている国民感情こそが、最大の障壁となります。では何故、他人事なのか?それは国防と云う事を肌で実感した経験がないからです。
よぉ〜く考えてみましょう。永世中立国のスイスですら、徴兵制がありますね。むろん中国にも韓国にもあります。日本も明治維新以来、昭和20年までずっと徴兵制があり、私たちの祖父も曾祖父もずっと日本を護るために闘ってきました。清国(日清戦争)、ロシア(日露戦争)、アメリカ(大東亜戦争)などの大国を相手に臆することなく果敢に闘い、そのおかげで日本は独立を保ってきました。
なのに何故、いまの日本は北朝鮮の如き小国に脅え、自国を守る気概すら失ってしまったのでしょうか。よぉ〜く考えてみましょう。これから私たちが何を成すべきか?明々白々ですね。
今回は北朝鮮に話題を絞りましたが、いま日本が陥っている閉塞状態の打開にも、日本の伝統精神、即ち「大和魂」と「武士道」の復活が最も重要であります。日本人は、戦前にはあった多くのものを戦後は失いました。規律ある行動、社会の秩序、名誉を重んじる心、自愛の精神、皇室による団結心、等々。
そして代わりに得たものは、殺人の自由、汚職の自由、不倫の自由、拝金主義、等々。いま始まった「格差社会」が戦後日本の終着駅だと気づいたならば、私たちは伝統と気概を取り戻さねばなりません。