この若者達の眼(まなこ)を見習え
(平成19年)
上村電建株式会社代表取締役会長
上村 彌壽男
昨年暮、12月13日、立場上招かれて私達は、海上自衛隊舞鶴教育隊の大体育館における、第105期初任海曹課程の終業式に参列の機会を得ました。これは今回舞鶴総監部管下の選抜された新任海曹(下士官)の基礎教育課程、三ヶ月間終了の日である。
私達は9月13日始業式にも参加し、その三ヶ月後の比較を十分目の当りにすることができた。
終業式は一連の式次第に始まり、優秀賞表彰、祝辞等がきびきびした動作の内に終わり、いよいよ見送りの式に入る。海自舞鶴音楽隊の演奏する「軍艦行進曲」に合わせて75名の若者の巣立ちの瞬間である。一人ひとりが挙手の敬礼をしながら教官、そして私達の前を力強く行進して来る。その姿、その輝く眼は、この国を必ず守って見せる。強固な意志と、更に海曹としての責任と旧海兵五省示されている、至誠、気力、努力等々を身に付けた若者達、そこには、ニートやフリーターの倦怠や、ホームレスに見る不逞感はどこにも見当たらない。
私はかつて旧海軍にあった軍歌の一節をふと思い出した。
ああ光栄の国柱 護らでやまじ身を捨てて
まさにその通り国の柱となってこの国に尽す気概は当然であるが、「身を捨てて」の歌詞は、あの当時と異なり、そうやすやすと死んでもらっては困るのである。
今やITを主体とした複雑な電子兵器を駆使するには膨大な人財投資が国家予算で賄われ、この国の防衛もまた複雑化する一方である。なるが故に生きて生きて生き抜いてこの国を守ってほしいのである。
私は彼等に答礼する熱い思いを私の眼で訴えたのである。更に私は、日本国民の一人として、売国的犯罪の無い安全な国づくりの責任を痛感するものである。今新しい防衛省のもと国際貢献が常時要求される今日、彼等が家族を置いて世界の広い範囲で行動するには、留守家族の生活を国家が守ってやらずして十二分の働きを期待するのはあまりにも不憫であると思う。